おとろしさん

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週間連載:毎週金 LastUpdate : 2006/06/23
全文字数:29389文字・原稿用紙80枚
あらすじ:
藤田四郎には子供の頃からおかしなものが見える。
彼岸と、此岸。人の世と、妖の世。相容れぬようで、混ざりやすい両側の世界を均等に見る目を持った少年が彼だ。
特異な幼少期を過ごした四郎は、今では分をわきまえ、そういったものとうまく付き合って暮らしていく術を学んだ。現在では特になんということもなく、一般人とは少し離れていながらも平凡な学生生活を送っている。
そんな時、クラスメイトから妙な噂を聞かされるた。町のはずれにある廃墟。一体誰の持ち物なのかもわからない古びた屋敷の一室に、「おとろしさん」というものがでる。月が消える新月の夜に、水と塩を持ってその一室を訪れ、床に水をまきながら「おとろしさん、おとろしさん、この願いを飲んでくれ」と唱えると、一つだけ、何でも願いが叶う、という噂だ。
クラスメイトである村山と山本は、常々からそういう類のものが見えると聞く四郎を是非に、と誘うが……。